必須脂肪酸 GLA & EPA

必須脂肪酸のGLA(γガンマ-リノレン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)の情報集約サイト

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血液透析患者におけるγ-リノレン酸投与前後の白血球の膜流動性の変化と膜脂肪酸組成の変化

      2016/02/22

筑波大学臨床医学系皮膚科,
筑波学園病院内科,
㈱コーワテクノサーチ,
出光マテリアル㈱
飯島茂子, 大塚藤男, 菊池 博, 山田恵子,
中島寿昭, 八尋賢一, 近藤彰宏

【背景】
 維持血液透析を受けている腎不全患者においては、末梢血中の白血球や赤血球の膜流動性が、正常人のそれに比し低下していると報告されている。近年、不飽和脂肪酸の一つであるγ-リノレン酸が、生体内細胞膜の檎成成分として、様々な病態に関与しているこ
とが知られ、その一つとして、末梢血液の循環を改善する作用のあることが指摘されてきた。そこで我々は、血液透析患者にγ-リノレン酸を投与し、赤血球の膜流動性が改蕎することを明らかにした(第22回日本微小循環学会)。今回、透析患者の白血球の膜流動性に着目して同様に検討する。

【目的】
 血液透析患者におけるγ-リノレン酸投与前後の白血球の膜流動性を測定し、その機秩序を検討する。

【対象】
 維持血液透析を受けている慢性腎不全患者8名(男5名、女3名:31歳~69歳)。

【方法】
 1錠中に主成分としてγ-リノレン酸(ムコール油抽出)を50mg含有する錠剤を1日6錠(分3)投与し、内服前、4週、8週、12週、16週後に、5%ヘパリン加採血を行った。
1)白血球の膜流動性:MC-FAN(Type KH-2)を用いて、白血球数1200/μlに自己血漿で調整した全血浮遊液50μlがマイクロチャンネル(Bloody 3L, width 6μm, length 100μm)を通過する時間を測定した。さらに通過状態をビデオに録画し観察した。
2)脂肪酸分析:投与前と16週後に血漿および好中球膜における極性脂質(主にリン脂質)の脂肪酸組成を、簿層クロマトグラフィーおよびガスクロマトグラフィーにより分析した。

【結果】
1)白血球の膜流動性:γ-リノレン酸投与前の通過時間が延長していた5名では、16週後に通過時間が投与前値の60-87%に短縮した。延長していなかった3名では2名が不変、1名が延長した。さらにビデオ画面より、通過時間に関与する細胞は主に好中球で、16週後には好中球の膜流動性が改善していることを確認した。
2)脂肪酸分析::γ-リノレン酸+ジホモγ-リノレン酸とアラキドン酸の比が、血漿中では投与後全例で増加し、好中球膜中では7例で増加した。

【考察】
 γ-リノレン酸投与により、透析患者の白血球の膜流動性が著明に改善した。これは投与前に膜流動性の悪かった例に顕著であり、白血球のうち主に好中球の関与が大きかった。16週後には、血漿中の脂肪酸組成のみでなく、好中球膜の脂肪酸組成も変化した。しかし、膜の流動性の変化は、膜中に存在する多価不飽和脂肪酸の物性によること以外に、他の因子の関与も示唆された。

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