必須脂肪酸 GLA & EPA

必須脂肪酸のGLA(γガンマ-リノレン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)の情報集約サイト

*

アレルギーにもいろいろなタイプが存在する

      2016/01/08

 免疫は通常、異物(抗原)に対して反応を起こすわけですから、アレルギーも何らかの異物(抗原)に対して反応を起こします。ちなみにこのアレルギーを引き起こす原因となる抗原のうち、外から侵入した抗原を特別に「アレルゲン」とよび、区別されています。

 そもそも私たちは異物である抗原に対して自ら抗体をつくり、その抗体で対処するという「体液性免疫」が備わっています私たちがつくる抗体は大きく分けてIgG、IgM、IgD、IgA、IgEという5タイプがあります。
 アレルギーと聞くと、アトピー性皮膚炎や花粉症、アレルギー性喘息といった病態のイメージが強いため、アレルギーはすべてIgEという抗体とヒスタミンの仕業だと思われがちですが、実際のアレルギーにはいくつか異なるタイプが存在しています。当然、IgE以外の抗体が関与するアレルギーも、抗体がノータッチというアレルギーもあるのです。そこでアレルギーをいくつかのタイプにわけて具体的な病態を示しながら、そのメカニズムについて少し説明しましょう。

【IgEと抗原との出会いは、肥満細胞の膜の上=Ⅰ型アレルギー】
 粘膜や皮膚といった外界に近いところに、ヒスタミンをたくさん詰めこんだ「肥満細胞」が存在しています。肥満細胞は核にくらべ、細胞質がとても大きいことから、このよび名がついています。
 通常、抗体は血液中で抗原と出会い、抗原抗体反応を起こしますが、IgEという抗体はちょっと変わりダネで、肥満細胞の膜上で抗原と出会います。肥満細胞にとっては迷惑千万といった、この出会いの場所。そんな場所だけに、大それた反応へと突き進ませることになるわけです。
 もともと肥満細胞の膜上には、IgEをくわえこむレセプターがたくさんあります。つまり、ある特定異物(アレルゲン)に対して、たくさんのIgEがつくられ、そのIgEが肥満細胞膜上で鈴なりになりながら待機しているのです。そこへ、同じアレルゲンが再び体内に侵入してきたとき、その抗原抗体反応(アレルゲンとIgEの反応)は肥満細胞膜上でおこなわれてしまいます。この反応がシグナルとなり、肥満細胞内にたくさん含まれているヒスタミンを放州してしまうのです。その結果、ヒスタミンによるさまざまな障害が発生するという一連の反応が起こります。この反応は「I型アレルギー」とよばれています。
 ちなみにアレルギー反応はアレルゲンの侵入部位によって異なります。鼻から侵入すれば鼻の粘膜にいる肥満細胞との反応で「卵アレルギー」が、眼の粘膜からなら「アレルギー性結膜炎」が。さらに気管支の場合なら「喘息」が。食べ物の喝合なら、腸粘膜で反応が起こって「消化管アレルギー」が起こってくるのです。食物アレルゲンの場合は、一部吸収されて血中に入り、やがて皮膚にも循環され、真皮に存在する肥満細胞と反応して、じんましんを起こすこともあります。

【自己免疫疾患も一種のアレルギー=Ⅱ型アレルギー】
 何かの拍子に自分の組織や細胞が変化して、その表面に杭原性をもってしまうことがあります(内因性抗原)。また、一部の薬剤(ペニシリンなど)がからだの中でいろいろ修飾をうけて抗原性(大きな分子になること)をもち、赤血球などの細胞膜表面にくっついてしまったために、その細胞に抗原性をもたらすこともあります。
 いずれにせよ、自己のものに抗原性が発現してしまったために、免疫が作動して,その抗原に対して抗体をつくってしまい、しかもその組織あるいはその細胞の表面上で反応が起こります。この場合の抗体は、I型アレルギーにおけるIgEではなく、IgGやIgMといった通常の抗原に対する抗体が出現してきます。臓器や細胞の表面で抗原抗体反応がおき、しかもいろいろな免疫反応も加わっているため、当然その臓器や細胞は被害を被ります。これも、免疫がもたらした被害=アレルギーです。この披害は「Ⅱ型アレルギー」とよばれます。
 抗原性の有無にかかわらず、事故を間違えて攻撃してしまうものを、私たちは自己免疫疾患とよんでいますが、このように「自己のものが何らかの形で抗原性をもってしまった」ことから端を発するⅡ型アレルギーは、当然自己免疫疾態でもあるわけです。何らかの原因で赤血球が抗原性を怠ってしまったためにどんどん壊されていくという一種の溶血性貧血。同様のメカニズムで起こる血小板減少症や白血球減少症。さらにはある種の腎炎や特殊な皮膚の病気「天庖瘡」などが、Ⅱ型アレルギーとして扱われています。

【免疫複合体が腎臓に被害をもたらす=Ⅲ型アレルギー】
 抗原と抗体が反応してできた免疫複合体が、ある程度の大きさまでであれば、白血球がそれを細胞の中に取りこんで処理してしまうのですが、あまりに大きな塊になると、細胞の中に取りこめなくなります。その結果、白血球が免疫複合体に対して攻撃をしかけ、さまざまな物質を放出して相手を片づけようとします。そして周囲の細胞や組織にそのとばっちりが及んで障害がもたらされるのです。つまり免疫複合体が沈着しやすい場所を反映して、腎炎や関節炎、血管炎が引き起こされるのです。これも免疫がもたらしたからだの被害=アレルギーなのです。このアレルギーは「Ⅲ型アレルギー」とよばれています。
 溶血性連鎖球菌に感染してへんとう炎を発症した後などに、その免疫複合体が腎炎を引き起こしてしまうというケースや、さまざまな自己免疫疾患が腎炎や血管炎を併発していくケース、一方ではリウマチという自己免疫疾患によりどんどん関節がやられていくケースなどが、Ⅲ型アレルギーとして扱われています。

【皮満かぶれは、抗体の出番がない=Ⅳ型アレルギー】
 化粧品や時計のバンド、うるしなどにふれた部位が、皮膚かぶれを起こしてしまうことがあります。これは「接触性皮膚炎」とよばれ、「Ⅳ型アレルギー」に分類されます。
 皮膚に進入してきた抗原となる物質は、まず表皮のランケルハンス細胞にその一部が取りこまれます。その後、ランケルハンス細胞は皮膚を離れてリンパ節へ移動し、その情報をTリンパ球に伝えます。情報をもらったTリンパ球(感作Tリンパ球)は、リンパ節の中で仲間をふやし、やがて血液にのって全身をめぐります。当然、皮膚のあたりにもウロウロ出現することになります。そこへもう一度、同じ物質が皮膚に侵入すると、ランゲルハンス細胞に再びその物質が取りこまれ、その細胞表面にくっついている抗原と近くまできている感作Tリンパ球とが皮膚で出会ってしまいます。すると感作Tリンパ球は、本来細菌やウイルスが侵入した際と同じ免疫システムを作動させて、さまざまなサイトカインを放出し、他の細胞たちも加わって異物退治が皮膚で活発に繰り広げられます。その結果、たいそうな異物でもないものに対して、赤みや腫れ、しこりといった皮膚かぶれを発生させてしまうわけです。これはからだに被害を与える不届きな侵入者=細菌に対してではなく、日常的なものを異物と判断したために起こる悲劇といえるかもしれません。
 このⅣ型アレルギーは、他のアレルギーと違い、抗体の出番なしに、細胞が出すサイトカインを中心に繰り広げられることが大きな特徴です。最近ではアトピー性皮膚炎において、ダニや黄色ブドウ球菌といったものが皮膚に侵入して、抗原物質としてはたらき、さまざまなⅣ型アレルギーを引き起こしていることが問題視されています。

【甲状腺機能亢進症もアレルギー=Ⅴ型アレルギー】
 もともと甲状腺は、脳F垂休からの指令をうけて、状腺ホルモンの分泌をおこなっている重要な臓器です。血液中に甲状腺ホルモンが少なくなると、脳下垂体から甲状腺制激ホルモンが分泌されます。甲状腺の細胞は、その指令をレセプターを介して受け取り、その指示通りに甲状腺ホルモンを分泌します。もちろん、血液中に甲状腺ホルモンが十分存在するときには脳下垂体からそのような指令は分泌されないという見事なフィードバックシステムも、私たちのからだの中に存在しています。ところが甲状腺レセプターを抗原と認識したため、抗体ができてしまうことがあります。しかも、その抗体は脳下垂体からの指令に対して邪魔をするわけですから、当然脳下垂体によるフィードバックシステムは作動しなくなり、甲状腺は孤立状態にたたされてしまいます.その抗体が邪魔をしたため、甲状腺はいつまで経っても甲状腺ホルモンを出せという指令がとどかず、甲状腺ホルモンが分泌されない病気「原発性粘液水腫」が起こります。
 一方、その抗体のレセプターへの結合位置によっては、逆に甲状腺刺激ホルモンと同じような刺激を甲状腺に与えてしまうという驚くべき現象も発生します。これがバセドー病ともいわれる甲状腺機能亢進症です。当然、制御のまったくはずれた無秩序な刺激。脳下垂体の思惑など顧みずに、甲状腺ホルモンを分泌し続け、基礎代謝の充進、心臓がドキドキする、汗をやたらかく、痩せていくなどの症状が表われてしまいます。甲状腺機能亢進症の場合も、自己のものに対して出現した抗体によって、からだに自立制御のきかない変調が起こるわけですから、当然アレルギーに分類されますが、通常のアレルギーと違い、抗体によって障害されるというより、機能が亢進するという例外的な反応であるため、Ⅴ型アレルギーとして扱われます。もちろん甲状腺ホルモンが出なくなるという原発性粘液水腫は、Ⅱ型アレルギーということになります。

 - 細胞力