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奇妙なアレルギー、アトピー性皮膚炎

      2016/01/09

 アトピーとは「奇妙な」という意味のギリシャ語。特別な体質の人にできる湿疹というものに対してつけられたのが、アトピー性皮膚炎です。
 今までは「子どもの頃にあらわれて、成長するとともに治る病気」だと考えられてきましたが、最近では大人になってから発症したり、成長しても治らないケースが増え、そのことで悩んでいる人たちも多く見られるようになりました。
 さて、このアトピー性皮膚炎というのは、従来から「アトピー素因」というものがかかわっていることが知られています。「アトピー素因」というのは、家族にアレルギー性鼻炎やアレルギー性喘息といった人がいたり、本人自身がそのようなアレルギーを持っていたりという家族歴・既往歴との関与やまたIgEという抗体を産生しやすいといった体質のことを指しています。現段階でもアトピー性皮臓炎がなぜ発症するのかという原因やメカニズムの詳細については、まだ完全に一致した見解を得るにはいたっておらず、不明な点も多く残されています。しかしアトピー性皮膚炎の患者では、ある抗原(アレルゲン)に対して、IgEが大量に産生されており、そのことが一つの原因となってヒスタミンを含むいろいろな炎症物質が放り出されるというアレルギーを巻きこんだ皮膚の炎症反応であるということについては多くの意見が一致しているようです。

【じんましんとアトピー性皮膚炎の違い】
 魚を食べたときに起こるじんましんとアトピー性皮膚炎は、その皮満症状に違いが見られます。じんましんの現場は、皮膚の一番表面にある表皮ではなく皮膚のもっと深いところ=真皮で発生します。つまりIgEをたくさんつけた真皮の肥満細胞が、腸管粘膜から一部吸収され、血中を流れてきた食物抗原によってヒスタミンを大量に放り出した結果、かゆみを伴いながら蚊にさされたようにふくれあがる「膨疹」が出現するということになります。ところがアトピー性皮膚炎の場合は、じんましんのような皮膚の深いところ=真皮ではなく、もっと皮膚の浅いところ=表皮での炎症反応が中心になっていることがわかっています。表皮には真皮と違って、肥満細胞が存在しません、仮に、食物抗原が腸管粘液から一部吸収されたとして、血液中を流れて真皮にまでくることはあっても、表皮に到達するとも考えにくいもの。それは鼻や気管から吸入されたダニ抗原の場合も同じこと。しかし、抗原は表皮に到達できなくても、その抗原に対してつくられたIgEという抗体は表皮に到達できます。そして、表皮にはそれをくっつける肥満細胞がいなくても、肥満細胞と同じようにIgEをくっつけるレセプターをたくさん備えているランケルハンス細胞がいます。そのため、IgEに対する抗原が何らかの形で表皮に侵入してきた場合、ランゲルハンス細胞にくっついたIgEとアレルギー反応が起こりうるのです。アトピー性皮膚炎の患者の大多数の人は、特定のものに対してIgEをたくさんています。そのIgEは粘膜や真皮に存在する肥満細胞にたくさんくっついているだけではなく、表皮のランゲルハンス細胞にもくっついている…。
 今までアトピーというと、典型的なI型アレルギーに属し、IgEと肥満細胞、そしてヒスタミンといったものによる方程式があったわけですが、どうやら表皮ではさらにもう一人の役者=ランゲルハンス細胞も加わることがわかってきました。要するに、皮膚を現場として、ランゲルハンス細胞が参加する反応、つまりⅣ型アレルギーでもある接触性皮膚炎のようなメカニズムもかかわり、アトピー性皮膚炎をつくりあげているという考え方です。実際アトピー性皮膚炎の皮膚症状が、じんましんよりも接触性皮膚炎に近い病態を示していることも、この考えを裏付けているといえそうです。

【皮噛かぶれと同じ?】
 では、アトピー性皮膚炎で問題となるアレルゲンは、どこから表皮へ侵入してくるのでしょう。もしかして、直接皮膚を通して入ってきているのでしょうか?
 確かにダニ抗原や細菌抗原といったものは、直接皮膚を通して表皮に侵入することがわかっています。また一部は肥満細胞の待ち構えている真皮にまで侵入するのではないかともいわれています。ここまでは皮膚かぶれ=接触性皮膚炎と共通のメカニズムかもしれませんが、この先が微妙に違ってくるのです。通常の接触性皮膚炎は、表皮へ侵入した抗原の情報をくわえこんだランゲルハンス細胞によって、Tリンパ球がその抗原の存在に気づき、さまざまな炎症性サイトカインを出してしまうことによる皮膚の炎症です。ここには何ら抗体の関与はありません。
 ところが、アトピー性皮膚炎の場合には、ランゲルハンス細胞がもうすでにIgEという抗体をくっつけているわけですから、ランゲルハンス細胞膜上で侵入してきた抗原とダイレクトに反応を起こしてしまう可能性があります。その結果、ランゲルハンス細胞自身がさまざまなサイトカインを出して、他の細胞をも巻きこみながら、皮膚病変をもたらすと考えられています。
 さらに真皮にはIgEをくっつけた肥満細胞が待ちかまえているため真皮にまで到達した皮膚からの侵入抗原は、それでもアレルギー反応を起こすこととなります。つまり、アトピー性皮膚炎では皮膚からの侵入抗原とランゲルハンス細胞との反応においても、やはりIgEが深くかかわっているのです。

【Ⅰ型とⅣ型の共存】
 吸入性あるいは食事性のアレルゲンと、粘膜や真皮に存在する肥満細胞膜上のIgEとが抗原抗体反応を起こし、ヒスタミンが遊離したためにその粘膜や真皮が障害を受けるという典型的なI型アレルギーには、アレルギー性鼻炎やアレルギー性結膜炎、消化管アレルギー、さらにはじんましんがあるということがわかりました。
 また皮胸かぶれ=接触性皮膚炎の場合は、皮膚から侵入する抗原を異物として、ランゲルハンス細胞がその存在をTリンパ球に知らせたため、Tリンパ球による反応であることもわかりました。
 そしてアトピー性皮膚炎はというと、どうやらⅠ型アレルギーとⅣ型アレルギーがからみあった複雑な病態といえそうです。しかもそこにアトピー皮膚という脂質代謝の異常により「皮膚が乾燥しやすく」「バリヤー機能が不完全」で「容易に抗原が侵入しやすい」という因子も加わり、より複雑で難解な皮膚炎症を形成しているものと考えられます。つまり、アレルゲン、IgE、そしてIgEなど抗体産生にかかわるリンパ球を含む免疫担当細胞、またその免疫担当細胞に影響を与える自律神経バランスや、内分泌ホルモン
バランス、さらに肥満細胞、ヒスタミン、ランゲルハンス細胞、炎症性サイトカイン、そして皮膚の脂質代謝異常など多くの囚子がアトピー性皮膚炎にかかわっていることがわかりますね。

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