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アトピー性皮膚炎へのさまざまなアプローチ

      2016/01/13

 こんなに複雑なアトピー性皮膚炎なら、そう簡単に治らないはずだ、と嘆いている人へ。あきらめるのはまだ早い。ちょっとしたことで発症して、気がついたらいつの間にか治っていたという人がたくさんいるのも、現実なのです。
 つまり、絶対治らないという病気ではなく、ただ皮膚という常に外界と接してストレスにさらされている部分であることや、他人の目に触れる場所であるために精神的苦痛を強いられること、そしてつらいかゆみを伴うことなど、アトピーをゆっくりのんびりと治しにくい環境がアトピー治療を難しくしているのかもしれません。
 医療の専門家でなくても、病態の善し悪しが素人目に見ても一目瞭然であることも長期の治療取り組みを邪魔している一つの原因にあげられます。
 「急がば回れ」
 まずは日常生活の見直しも含めて、ゆっくり取り組むことが基本です皮膚で炎症を起こしているものすべてが、アレルギーによるものではなく、他の因子も随分その炎症に加担していることがわかっていることからも、まずは足を引っ張っているその因子の取り除きからはじめてみましょう。

 そこで、アトピー性皮膚炎を発症するのにかかわっている重要な因子について、一つ一つ見ていきましょう。
 まずアトピー性皮閥炎を発症するには、大きく三つの要因が関与しています。その要因というのは「アトピー体質」「アトピー皮膚」そして「アレルゲン」です。つまりIgEを産生しやすい体質である、その結果ヒスタミンがたくさん放出される、そして刺激をうけやすい乾燥皮膚である、さらにアレルゲンが身近に存在している、かどうかということです。
 アトビー性皮膚炎の症状を少しでも緩和するためには、この三つの要因を頭にいれて取り組んでいくことが、一つのアプローチになりそうです。

【ヒスタミン放出の犯人は、IgEだけではない】
 肥満細胞やランゲルハンス細胞が中身の物質(炎症物質)を出してしまうのは、細胞膜上にくっついたIgEとその抗原が反応を起こしたときばかりとは限りません。細胞はいろんな要因が刺激となって、炎症物質を放出するのです。
 外から加わる皮膚の刺激。たとえば衣服のこすれ、衣服に残存する洗剤の刺激、肌についた汚れや汗、ほこりの刺激やひっかいたときにも。また、寒冷などの温度変化によっても、細胞はあたかもアレルゲンの侵入を受けたかのように刺激を受けて、炎症物質を放出することがあります。
 さらに工場、自動車の排気ガスや花火、線香の煙などに含まれる窒素酸化物によっても、細胞が過敏になります。また薬剤や食事成分、脂肪酸バランス、副交感神経など、IgE以外のいろいろな要因による=いわゆる非アレルギー的反応によっても、ヒスタミンやその他の炎症物質は放出され、皮膚は障害をうけていくのです。

【アトピー皮膚は、容易に抗原が侵入する】
 健康な人でも、ダニ抗原が毛穴を通じて皮膚に侵入することが確認されていますが、アトピー性皮膚炎の患者の皮膚では、比較にならないほどたくさんの抗原がいとも簡単に皮膚に侵入することが観察されています。特に破綻した皮膚では「招かざる客」に対して、いつでもどうぞといわんばかりに皮膚への侵入を許しているわけですから、その障害といったらたまったものではありません。
 さらにこの自由な出入り口は、破綻した皮膚だけにとどまらず、目で見た限りではふつうに見えていても、アトピー素凶をもっている人の皮筒ならば、容易に侵入できるということもわかってきました。
 つまり、普段から抗原が侵入しやすい、刺激を受けやすい皮膚。これがアトピー皮膚の実態のようです。ちなみにアトピー皮膚というのは乾燥傾向を認めることから、ドライスキンともよばれています。
 一方、皮膚の状態と脂質代謝の関係については、1930年代からさかんに研究されだしました。皮脂や細胞間脂質は異物の侵入を防ぐバリヤーとしても、そして水分蒸散を防ぐ意味でも重要な因子ですが、その脂質成分に量的あるいは質的に異常があるのではないかというのです。脂質の異常が、皮膚の最も重要な機能であるバリヤー機能を破綻させ、容易に異物を侵入させている…そして皮膚は炎症反応を繰り返して徐々に障害されていくとしたら…物理的のみならず免疫学的バリヤーとしても重要な皮備。そんな皮膚を構成している脂質の状態がとても気になります。

【アレルゲンの除去対策】
 たとえIgEをつくりやすい体質であったとしても、その抗原が侵入してこない限り、抗体はつくられません。その説をたどると、スギ花粉がまったく飛び散らないところに住んでいる人はスギ花粉に対する抗体をつくるチャンスがない。逆に、原因抗原の侵入機会が多い人ほど、抗体をつくるチャンスは多く、またたくさんつくってしまうということになります。
 つまり、特定の原因抗原と接触する機会が多ければ多いほど、その抗原でアレルギーを起こす準備ができやすいということです。しかし、スギ花粉症の人がスギ花粉が飛んでいない時期は大丈夫なように、一度そういう準備状態ができてしまったとしても、その抗原が繰り返し接触してこなければ、アレルギーは準備状態のままで、発症の機会を失い、ついには沈静化に向かいます。
 そこで、原因抗原の侵入を少しでも妨げる工夫は有効なようです。アレルゲンさえからだに入ってこなければ、アレルギーは起こりません。まさに「さわらぬ神にたたりなし」の法則。しかしながら、アレルゲンのまったくない環境など地球を脱出しないかぎり無理な話です。そこで躍起になってアレルゲンの除去に取り組むという意味ではなく、いかにアレルゲンの侵入する機会を減らしていくかが次なるテーマとなります。

 原因が明らかな食物アレルゲンは、その食物をできるだけ食べないようにするのが一番ですが、たくさんの種類がアレルゲンとなっている場合や、何にでも含まれている成分だったりした場合はちょっと難しそうなテーマです。そんな中、近ごろではアレルゲンを除去した食品(低アレルゲン米や低アレルゲン調整乳)が市販されるようになったので、それを利用するのも一つの方法です。また、同じものを大量に頻繁に食べず、メニューを回転させること。生は控えて、加熱するなりしてよく調理をすること。(卵や牛乳は加熱処理をするとアレルケン性は低下します)。そうしてアレルゲンの侵入機会を大幅に減らしていけば、からだの中のアレルギー準備状態も徐々に勢いがなくなっていくといわれており、事実IgEの産生が減少していくことが確認されています。スギ花粉症の場合は、できればその時期出歩かないように。また出歩く場合にはその侵入経路をふさぐようマスクやゴーグルを着用するのも一つの方法です。粘膜の過敏性を少しでもおさえるために、アルコールや香辛料を控えることも有効とされています。
 また花粉症の原因物質はスギだけではないので、春はヒノキにも。夏から秋にかけてはカモガヤやブタクサ、ヨモギにも注意が必要になってきます。

 ダニやほこり、細菌やかびといった吸入性アレルゲンは、一方では皮膚からでも侵入可能なアレルゲンです。このような環境アレルゲンに対しては、防ダニふとんやシーツといったダニ対策商品や防かび商品などを利用するのも一つの方法ですが、まずは部屋のお掃除からはじめるのが基本です。どんなに対処法を考えてもダニやほこりがいっぱいの中で住んでいたら、何にもならないものになってしまいますから。

 そしてスキンケア。もちろん抗原が皮膚から侵入してきにくいよう、バリヤー機能を一時的にでも高めるための保湿ケアも重要ですが、ここでは洗浄が大きなポイントになってきます。ダニの糞や死骸、細菌の死骸は、眼には見えませんが、皮膚の表面にたくさんついています。しかも皮膚炎を起こしている皮膚では「接着因子」という炎症物質が大量に発現しているため、健常な皮膚よりもより強固にくっつきやすいこともわかっています。皮膚を培地にパイ菌やダニの死骸が…なんて、考えただけでもぞっとします。そこで石鹸を正しく使った洗浄という行為が、その付着を少しでも防いでくれるのです。 そして容易に抗原の侵入を許している、すきまだらけ皮膚を、時間をかけてでも修理していくことが大切です。皮満をみかけではなく、本当の意味で健康な状態を取り戻して、アレルゲンを容易に侵入させないようにしましょう。γ-リノレン酸のもつ抗アレルギー作用については、脂質の代謝やプロスタグランディンの生まれるメカニズムもふくめて、さまざまな研究が重ねられています。アトピー性皮膚炎の症状改善にかんしては、精力的に世界で研究されており、海外では事実医療の現場でも用いられています。また脂質代謝と密接な関係のある皮膚に対する作用やアトピー皮膚に対するγ-リノレン酸の作用。さらに炎症に対する作用にも期待が寄せられており、この日本においても現在活発に研究が進められています。

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